雑感:プロの1軍でショートを守るということ
本日は移動日なので適当に。
ヤクルトは開幕3連戦で勝ち越し。上々の滑り出しとなった。
そんなヤクルトの今年の注目選手として、ショートの廣岡を挙げる人は多いのではないだろうか。開幕カードでもタイムリーを打つなど打撃は好調。そしてオープン戦と開幕カードを通じてミスもあったものの20歳とは思えないフィールディングを見せてくれた。
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そもそもプロの世界でショートを守ることは非常に難しい。中学から高校、高校から大学と競技ステージがあがるに連れて、飛んでくる打球の速度や質が段違いに難しくなり、それにともない求められるプレーのスピードと正確さが格段にあがる。なかなか見ていては気づかないが、1軍ショートの1つ1つのプレーの質は本当に高い。
ちなみにメジャーのショートとなるとまたハードルがあがる。松井、井口、西岡、中島などこれまで日本を代表するショートが渡米をしたが、誰もレギュラーをとることはできなかった。ここを超えた日本人野手がいないことからも1つ2つ上のステージでショートをやる難しさがわかるだろう。
そんなわけで特に大卒前の22歳以下の選手がプロ1軍でショートを守るということは想像以上に難しいのである。
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現役選手でも福留や浅村、大田、高橋周平など高校の時にはショートで慣らした選手が数多くいた。しかし、プロに入ると、求められる守備力の水準がむちゃくちゃ高くなるため、失格の烙印を押されることになった。
1軍のショートを守れる守備力を持っていることはそれだけで希少価値を持っている。そんなわけで、バッティングはよくなくてもこの要求される高水準の守備力を満たせればよいということで大学、社会人から毎年守備型のショートが獲得されることになる。
特にパリーグでは投手が打席に立たないため、ショートは守ってくれればよいということで打撃に目を瞑って獲得することが多い。レギュラーでなくてもバックアップには必ず必要だし。その結果所沢遊撃隊みたいのができることになる
しかし、投手が打席に立つセリーグではそうはいかない。しかも近年は打てる捕手少ないのでこれにショートも守備型で打てないとなれば死活問題である。ということでプロ1軍で守れる高水準の守備力と280くらい打てる打撃力を持つショートの獲得に各球団が悩むことになる。
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そんななかで廣岡である。そのスケールを感じさせる打撃にも注目が集まる。しかし、20歳で1軍のショートを守れていることが「異常」である。そしてまだまだ荒い部分はあるものの守備範囲の広さや送球の強さは既に片鱗を見せている。なんとも楽しみな選手だ。
ちなみに奥村もである。巨人から人的補償で獲得した際、前年のファームでは辻、和田といった同年代の若手野手よりも明らかにショートを守れる適正を見せていた。昨年辻がファームで内野のポジションを転々とし、和田はサードを守る中、21歳の奥村は1軍で30試合以上ショートを守った。
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プロの1軍でショートを守れるということは1つの武器なのだ。ヤクルトでも山田や荒木はアマチュア時代ショートを守っていたがプロではそうはいかなかった。しかし、廣岡、奥村といった若手2人はこの壁を超えたのである。
打撃だけではなく、守備にも注目したい。